ニッポンの猥褻

これは自称「性学者」橋本鉄の八十七歳の現在に至る長い性体験の記録である。鉄は十七歳で淫売宿の娼婦クララに恋をする。しかしその初恋はもろくも関東大震災で破れ去る。鉄は情婦を殺し性器を切り取って逃げた有名な安部定も抱く。やがて太平洋戦争が始まり、敗戦。鉄は性愛相談所をひらいて淫乱症や不感症などを実地に診断している。そして初恋の女クララにそっくりの幸子を知って同棲をはじめるが……。鬼才・瀬々敬久の脚本を深町章が監督したこの作品は、好色男の波乱の一代を描く壮大な色情編。新東宝映画創立三十周年を記念して1993年に製作された淫乱大作である。