四畳半襖の裏張り

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  • 72分

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あらすじ

日本全国で米騒動がひん発する大正中期・東京山の手の花街の夏。 料亭、梅ヶ枝ではおかみが芸者、袖子を待ちかねていた。客の信介は三十半ばのちょっとした役者風のいい男。世間は米騒動やらでそうぞうしい最中、遊びに興じようという了見の信介である。 座敷に通された信介は、袖子の恥ずかしそうな仕草が早くももどかし気な様子。蚊張の裾をうちわであおぐ袖子に『やさしいね。惚れたよ』と遊び上手な言葉をかける。 帯を解き、長襦袢一つの袖子が、裾を堅く引き合わせ、夏ぶとんの中へ足をすうっと入れる。信介は上になってふとんをはがそうとすると『はじめてですもの。はずかしい』と電気スタンドの明りを暗くする袖子だった。 外ではちんちんと号外の鈴の音が鳴り、騒がしい世相である。置家・花の家では芸者花枝と花丸がすっかり仕度を整え、あてのない客を待っているのである。 信介の動きがだんだん激しくなるが、袖子は半分お義理である。そのうち信介が横になると袖子も仕方なしに横になる。しばらく貸すだけのつもりの袖子も生身、次第に鼻息も荒くなり、夜具は乱れ、枕はきしみ、伊達巻のはしも千々に乱れる風情となるのだった。 信介の動きにつれて、袖子はもう気が遠くなりかけている。柚子 は初めの様子とはうって変り、次第に激しさも加わり、枕がはずれても直そうともせず身悶えるのだった。信介は反り身になって、袖子の乱れる反応を見つめている。 ここにきて、信介は袖子の様子を見ながら、じっと辛棒する。袖子は『あれ!どうぞ』と泣きじゃくり、髪はばらばらになるのだ。信介もさすがに度を失ない、仰向けになると、思い残すこともなく―― そしてふたりは一息入れるや二度目が始まり、三たび四たび頂点点を極めるのだった……

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本編

四畳半襖の裏張り

四畳半襖の裏張り

  • 72分 
  • 3日間 440 pt 〜

日本全国で米騒動がひん発する大正中期・東京山の手の花街の夏。 料亭、梅ヶ枝ではおかみが芸者、袖子を待ちかねていた。客の信介は三十半ばのちょっとした役者風のいい男。世間は米騒動やらでそうぞうしい最中、遊びに興じようという了見の信介である。 座敷に通された信介は、袖子の恥ずかしそうな仕草が早くももどかし気な様子。蚊張の裾をうちわであおぐ袖子に『やさしいね。惚れたよ』と遊び上手な言葉をかける。 帯を解き、長襦袢一つの袖子が、裾を堅く引き合わせ、夏ぶとんの中へ足をすうっと入れる。信介は上になってふとんをはがそうとすると『はじめてですもの。はずかしい』と電気スタンドの明りを暗くする袖子だった。 外ではちんちんと号外の鈴の音が鳴り、騒がしい世相である。置家・花の家では芸者花枝と花丸がすっかり仕度を整え、あてのない客を待っているのである。 信介の動きがだんだん激しくなるが、袖子は半分お義理である。そのうち信介が横になると袖子も仕方なしに横になる。しばらく貸すだけのつもりの袖子も生身、次第に鼻息も荒くなり、夜具は乱れ、枕はきしみ、伊達巻のはしも千々に乱れる風情となるのだった。 信介の動きにつれて、袖子はもう気が遠くなりかけている。柚子 は初めの様子とはうって変り、次第に激しさも加わり、枕がはずれても直そうともせず身悶えるのだった。信介は反り身になって、袖子の乱れる反応を見つめている。 ここにきて、信介は袖子の様子を見ながら、じっと辛棒する。袖子は『あれ!どうぞ』と泣きじゃくり、髪はばらばらになるのだ。信介もさすがに度を失ない、仰向けになると、思い残すこともなく―― そしてふたりは一息入れるや二度目が始まり、三たび四たび頂点点を極めるのだった……