何かに導かれるように大海をゆく一艘の小舟。その上には無垢な瞳の少女、名はロウラン。その名以外、少女は過去と呼べるものを持たない。
今からさほど遠くない時代の日本。国連軍に編入された自衛隊は今はなく、体制への従属を拒む人々は東京の臨海地区に居留地を形成し、自らそこを「東京桃源郷」と呼んでいた。心優しく逞しい青年・建智鉄也は、自由人の一人として、ひっそりとそこに暮らしていた。が…
突如、東京湾に現れた巨大な怪物。オカルティックな秘術で城護衆が作り出した妖怪・雷獣である。それを迎え撃つのは、世界で初めて平和維持のためだけに結成された組織・ASYの人型兵器・鋼仙。一見、正義と悪の戦いだ、しかし城護衆もASYもそれぞれ「何か」を求めて戦っていた。鋼仙のパイロット・神子上ヤマト、妹のまほろたちはまだそれを知らない。
激闘の末、雷獣を倒した鋼仙・銀子を爆撃の振動が襲う。驚愕するヤマトの眼前には、宙に浮かぶ不思議な少女の姿が。「ロウラン…オマエを壊すためにきた!」
科学力と霊力が激突する戦いの中、人々は自らの真実に目覚めて行く…。