組織暴力 兄弟盃

長い悪夢のような戦争を体験し東京に帰ってきた木島は、我家の焼跡を前にして自分が天涯孤独の身になってしまったのを感じた。木島は露天がひしめく銀座でGIに乱暴されようとした若い娘・伸子を助けたことから、特攻くずれの大場と知り合った。 当時銀座は、おちぶれた桜田一家に代わって新興の戸川組が、新橋の松木一家と手を結んで勢力をふるっていた。ビアホールで老いた桜田に猥籍を働く戸川を見た大場と木島は、待っていた好機が向こうから飛び込んできたのを見てとった。戸川を叩いて桜田を助け、名門・大門一家に取り入って銀座の縄張りを認めさせる。二人は重傷を負って入院した戸川をベッドの上で刺殺した。戸川の死に松木一家はいきりたったが、木島が組を去るという条件で事なきを得る。木島は戦友の津ヶ谷と組んで再起を計ろうとするが、そこには、思わぬ落し穴が待ち受けていた。