昨今多発する日本の警察犯罪事件の数々の実例をモデルに、良識ある巡査が警察の犯罪機構に巻き込まれながら悪徳に染まり、やがて自滅するまでを描いた、社会派エンターテインメント大作。
警察問題ジャーナリストとして海外でも著名な寺澤有の資料と原案協力を得て、実際に起きた警察犯罪事件に正面から切り込むストーリーは、警察犯罪を報道できない日本の記者クラブ制度の問題をも照射しながら、映画本来の娯楽性を損なうことなく、同時に日本の警察、検察、裁判所、報道の癒着による国家ぐるみの犯罪が現実に存在するという警察支配社会の恐怖を描き、ラスト6分では観客の誰もが震撼する衝撃を与える。
この野心的な映画企画に、外国人ジャーナリストの聖地でもある社団法人・日本外国特派員協会が、60年の同協会史上初めて映画撮影に協力、協会内でのロケーションが敢行されたほか、千葉県柏市、松戸市、茨城県庁、埼玉県坂戸市などの自治体が、警察犯罪の舞台となる警察署として市庁舎での撮影を許可するなど異例の協力を決定、撮影中から海外の新聞が密着資材に訪れるなど、完成前から社会的な注目を集めた。