阪本順治監督が描く、つらく厳しい現実にくじけそうになりながら、それでも心を通わせることを諦めない若者たちの、愛おしい青春時代劇。
■主人公おきくを演じるのは、ベルリン国際映画祭(女優賞)や三度の日本アカデミー賞に輝く名女優、黒木華。声を失い、中盤以降は台詞がないおきくの心の揺れを、手話がまだない時代の身振り手振りを通じ、繊細に表現した。偶然に出会い、下肥買いの相方となる中次と矢亮には、祖父に三國連太郎、父に佐藤浩市を持ち、『菊とギロチン』(2018)でのデビュー後はみずみずしい魅力を放ってきた寛一郎と、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017)、『宮本から君へ』(2019)、『シン・仮面ライダー』(2023)などの主演作で圧倒的な存在感を残してきた池松壮亮。
また佐藤浩市、眞木蔵人、石橋蓮司ら、阪本作品に主演してきたベテラン俳優たちが長屋に集う人々に扮し、絶妙なアンサンブルを見せている。
■脚本と監督は「北のカナリアたち」「亡国のイージス」など数々の名作を送り出してきた阪本順治監督。貧しくもたくましく生きる長屋の住人たちをみずみずしく描き出している。
美術監督として活躍してきた原田満生が発起人となり、気鋭の日本映画製作チームと世界の自然科学研究者が連携し、様々な時代の“良い日”に生きる人々の物語を映画で伝える“YOIHI PROJECT”の劇場映画第1弾。