豊原功補、小泉今日子、外山文治監督らで立ち上げた映画制作会社「新世界合同会社」の第1回目のプロデュース作品『ソワレ』。長編デビュー作『燦燦―さんさん―』(13)で「モントリオール世界映画祭2014」から正式招待を受けるなど、いま世界からも注目を集める外山文治監督が、和歌山を舞台に描いたオリジナル作品だ。主人公・翔太を演じる実力派俳優・村上虹郎と、100人以上のオーディションから大抜擢され、インディーズ映画で最注目の新星・芋生悠(いもうはるか)の2人をW主演に迎え、若い男女の切ない逃避行を映し出す。
それはひそやかな永遠の始まりだった。ある事件をきっかけに逃避行することになった青年と若い女性。とはいえ、ふたりは恋愛関係にあるわけではない。まだ出逢ったばかり。彼は彼女の、ある不幸な境遇を見るに見かねて、半ば衝動的に連れ出す。そうして始まった、ひと夏のひと旅。青年はその時間を「かくれんぼ」と呼び、女性は「かけおち」と称した。これはありきたりのラブストーリーではない。許されぬ罪を犯し、追われる身になった男女が、シリアスな状況下、それでも、それぞれに「生きる理由」があることを発見するまでを描く。それは、ささやかかもしれないが、静かに尊く、沁み入るような余韻を残す。