世界を呑みこむ戦争の足音が、刻一刻と迫る1930年代の中国。北の八卦掌の宗師グランドマスターである宮宝森は引退を決意し、その地位と生涯をかけた南北統一の使命を譲る後継者を探していた。候補は一番弟子の馬三マーサンと、南の詠春拳えいしゅけんの宗師・葉門イップ・マン。バオセンの娘で、奥義六十四手をただ一人受け継ぐ宮若梅ゴン・バオセンも、女としての幸せを願う父の反対を押し切り名乗りを上げる。だが、野望に目の眩んだ馬三が宝森を殺害。ルオメイは葉問への想いも、父の望みも捨て、仇討ちを誓う。後継者争いと復讐劇が絡み合う、壮絶な闘いの幕が切って落とされた。八極拳はっきょくけんを極め、一線天カミソリと呼ばれる謎の男も、不穏な動きを見せている。 動乱の時代を生き抜き、次の世代へと技と心を受け継ぐ真のグランド・マスターとなるのは誰なのか―?