『お料理帖~息子に遺す記憶のレシピ~』は、一冊の料理帖に遺された心と体に美味しい韓国の家庭料理の数々と、そこから浮かび上がる家族への複雑な想いと愛情を描き切ったヒューマンドラマです。監督の実体験を元にしたというリアルな演出の通り、思わず親の顔を思い浮かべてしまう厳しい小言、机に並べられる実家の料理の暖かさ、そしてどうしても向き合わなくてはならない家族の問題。料理帖が繋ぐ、記憶の断片、家族への愛。料理に正解が無いように、家族の在り方にも正解は無い。あなたはこの母の姿を、どう受け止めますか――。
多くの共感を呼ぶ母を演じるのは、五十年以上のキャリアを誇る大女優イ・ジュシル。
大ヒット映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)をはじめ多くの作品で子供のために生きる母親役を演じ、本作でも自らを犠牲に生きる平凡な母親の人生から滲み出る喜怒哀楽を細やかに演じ絶賛された。
監督は韓国で大ヒットした『犬どろぼう完全計画』のキム・ソンホ。
自身の母との出来事を思い起こしながら、本当の親子の自然な会話やぎこちない感情表現、そして映画に出てくる料理のレシピなど監督個人の記憶と思い出を作品につなげ、第22回釜山国際映画祭、第37回ハワイ国際映画祭などの上映でも評論家や観客の心を鷲掴みにした。さらに第3回ソウル国際料理映画祭のオープニング作品に選定され「映画と料理が与えてくれる心の癒しを分かち合える作品」と賞賛された。