香港が誇る七人の監督が、香港の“美しい瞬間”を、全編35mmフィルムで撮った響き合う七つの物語。
2020年/第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション作品『七人樂隊』は、香港映画ファンならずとも胸が躍るオムニバス映画だ。製作を兼任したアクション・ノワールの巨匠ジョニー・トーの呼びかけにより、香港映画界を牽引してきた7人の名匠が集結。それぞれ固有の作風で世界的な注目を集める監督たちが、1950年代から未来を背景に撮り上げた7つの短編は、独立した物語でありながら時空を超えてエモーショナルに響き合い、魅惑的な “Septet(七重奏)” というべき作品に仕上がっている。デジタルカメラが主流の現代にあえて35mmフィルムでの撮影を行い、過ぎ去りし “フィルムの時代” へのリスペクトを表明したことも特筆すべき試みと言えよう。また、フランシス・ン、サイモン・ヤム、ラム・シュらの多彩なキャストが、味わい深いアンサンブルを奏でている。