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本編

溺れる魚

溺れる魚

  • 101分 
  • 2日間 330 pt 〜

警察組織の内部犯罪を調査する特別監察官室(通称・トッカン)は、ある危険人物をマークしていた。警視庁公安部の警部・石巻修次。大手フィルムメーカー・ダイトーとの癒着や中国マフィアとの関係など、彼には警察機構を根底から覆すほどの大スキャンダルに発展しかねない幾つもの爆弾を抱えていた。石巻の動向をつかむため、警視庁特別監査官室長・御代田警視正は、懲戒免職寸前の2人の刑事を内偵調査に起用した。白州勝彦:麻薬密売現場で容疑者射殺後、証拠品の現金着服。秋吉宗貴:女装癖あり、警視庁内で婦警の制服窃盗。彼らは警視庁でも1、2を争うほど、刑事としての自覚を著しく欠いた人物たちだった。時を同じくして、ダイトーの本社にEメールで奇妙な脅迫文が送られてくる。送信者は「溺れる魚」。文面には”ある要求”に応じなければ、ダイトー本社ならびに都内にあるダイトーのDPEフォトステーションに決定的なダメージを与える旨が記されていた。愉快犯とも思われる要求であったが、その脅しはハッタリではなかった。4ヶ所のステーションの現像液タンクに、漂白剤が混入され、顧客のフィルムすべてが台無しにされる。手の打ちようがない完璧な犯罪計画だが、通常の企業恐喝と大きく相違する点があった。「溺れる魚」を名乗る者の要求は金ではなく、役員・幹部クラスの人間を指名し、人通りの多い場所で屈辱的な行為を取らせることであった。幹部たちは、涙を呑んで哀しいまでの愛社精神を持って、公衆の面前で次々と生き恥を曝してゆく。とある金曜の夜、石巻は気鋭のグラフィックアーティスト・岡部哲晃が経営するクラブの名物イベント‘ゲイナイト’に姿を見せる。潜入捜査のため、ゲイカップルになりすましたはいいが、納得がいかない白州とやや興奮気味の秋吉の2人は、人々の熱気で酸欠状態となった店内に足を踏み入れる。次々と明らかになる意外な過去、白昼繰り広げられる銃撃戦、多様な人物たちのいくつもの欲望が絡み合う大都会のアンダーワールドに潜り込んだ白州と秋吉が辿り着いたのは、衝撃の真実だった…。